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医者が入院したら

先日入院して手術を受け、昨日退院しました。

今までにも何度か入院や手術を経験していますが、自分の勤務先の病院に入院することがほとんどなので、他科とはいえ主治医も顔見知りだし、自分の所属病棟に入院させてもらって病室から指示出しをしたり、緊急手術に入ったり、やりたい放題ww。なんなら当直してるような感じで働いていました。年休使って入院してるのに何やってんだと思いながら、目の前に助けが必要な患者さんがいて、困っているスタッフや同僚がいて、自分にできる事があるのならそりゃ仕方ないですよね。

しかし、今回は完全にアウェーでした。地元の開業医からの紹介で大学病院を受診し、完全にまな板の上の鯉。一般の患者さんと同じルートで診察、手術を受けました。自分が医者であることを言うべきか言わざるべきか・・・悩むところではありますが、逆の立場であれば「早く言ってよ」と思うので、早々に白状しました。その方が説明が省けたり、お互いに時間効率がいいですからね。病院スタッフの迷惑にならないように存在感をすーっと消して、模範的な患者をひたすら演じていましたよ。そして、患者の立場から病院内のスタッフの動きやシステムを見て、いろいろ考えることもありました。

自分では患者さんに真摯に向き合い、苦痛をできる限り取り除き、話をよく聞いて最善を尽くしてきたつもりでした。もしも自分が産婦人科の患者になったら、自分を主治医にしたいと思うくらい(もちろんそれは不可能なのですが)。今回私の主治医になってくれた先生は、見た目は30代のようですが、誠実で信頼できるいい先生でした。私なんかよりもずっといい医者。診療科は違えども、若くて素晴らしい人が医療界を引き継いでいくんだなー、と感慨深い気持ちになりました。もちろん、何の不安もなく手術を任せられましたし、術後もトラブルなく予定通り退院できました。一見当たり前のようなことも、実は主治医ががっちり支えているからこそ可能なのだということを知っています。患者の不安を取り除き(あるいは過度な不安を植え付けず)、合併症を起こさないよう細心の注意を払い、予防策も講じ、あらゆる可能性を排除せず適切に打つべき手を打っているからこそ、「無事に」退院できるのです。

大病院で毎日のように手術をこなし、入院患者さんの回診をして異変はないかと神経を使っていた頃を、久しぶりに懐かしく思い出しました。休みの日も呼び出しに備えて携帯を手放せず、真夜中でも車を飛ばして病院に向かっていたあの頃の生活にもう一度戻りたいかと、入院中に100回くらい自問してみましたが、答えはやっぱりNoです。若い先生たちの活躍の場を奪うべきではないし、仕事にはどうせいつか終わりが来ます。ほぼ全盛期で第1線を離れたことに後悔はありません。でも、生き生きと仕事をこなしている医師を見て、なんだかうらやましく思っちゃったのかな~?何なんだろうね、こんな感情が沸くなんて、想定外。

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